時の雫・第2部 風に乗って君に届けば§1&美音 遠い存在

あとがき


双方改めて読み直してみると、二人の「微妙な」位置というか、「微妙な意識」というかがはっきりと出ています。本人たちの周りは、お互いに注目を浴びている、といった状態。
なんとなく、二人のため息が聞こえてくるような感じですけども。
 まぁ、お互い「気持ち」はあったんですね。この頃には、ただ、形や重さが違うだけで。
まだ種にもなっていない状態でしょうか。

圭史の言葉で、「他力本願は神社に行ってやってくれよ」というのがあります。
あれは丸々本音です。もっと掘り下げて言うなら、自分に対しても言っているし、昔の自分の対しての姿でもありました。
まともに目を合わせることも出来ないし、気の利いた言葉もかけられない。すれ違っても何事もなく。
そんな圭史の淋しい気持ちが見え隠れする1話目でした。
 初めて言葉をかけてもらい、自分の知らない所でテニス部の部長に忠言してもらい、それで圭史は知ります。自分の評価は決して悪いものではないんだな、と。
ドリンクを一番に選ばせて貰って、普通の中の特別なんだな、と。
 はい、とても微妙な感じでした。

  実際の日常では、これで終わってしまう二人もあるんでしょうね。
美音と圭史はこれから始まっていくところで、まだスタートラインにも立ってない状態ですが。
 私の頭の中で勝手に二人は動いてくれました。
本音を言うと、私は感性で描いていくタイプの人間なので、始める前から各話の深い繋がりを考えていないです。いつの間にやら勝手に出来ているので…。
 そんなこんなで、1話目、でした。